にいがたニナイビト
NPO・地域づくり支援
2019.08.21
「未知な分野だからこそ。NPO会計税務の専門家としての税理士」
燕市
税理士/NPOアカウンタント
海津 一義さん
海津 一義さん
燕市に税理士法人を構える税理士の海津一義さんは、新潟県内に4人しかいないNPOアカウンタントだ。これは、NPO法人の会計税務分野の専門家として認定を受けている税理士が名乗ることができる。現在、NPO法人等を対象とした会計セミナーの講師も務める海津さんに、なぜNPOアカウンタントを志したのか、きっかけや想いについてうかがった。
誰もやっていないからこそ、自分がやってみよう
税理士の仕事は主に、①税務代理、②税務書類の作成、③税務相談の3つがあり、どの仕事も会計の積み重ねである決算書に基づいて行う。海津さんも仕事の8割は会計に関するものだそうだ。
海津さんとNPOの出会いは、税理士になって間もない頃、NPO法人を設立しようとしていた女性2人に声をかけられたことがきっかけだ。海津さんが税理士事務所の立ち上げに向けて、中小企業大学校三条校で起業のノウハウを学んでいたところ、同じく法人設立のために参加していた女性たちは、税理士である海津さんに、法人の会計を担当してほしいと頼んだそうだ。当時、NPO法人を「聞いたことがある」程度しか知らなかった海津さんだが、この依頼を引き受けることにした。「お客さんが来てくれて嬉しい気持ちと、また新たな勉強をしなければならない、これは大変だ、という気持ちが混ざり合っていました」と、海津さんは笑って振り返る。
NPO法人の会計税務について勉強し始めると、それまで扱っていた一般的な企業とは違う独特さや珍しさから、次第に興味を感じ始めたという。また、「税理士はたくさんいて、偉大な先輩も多い。しかし、まだ詳しい人や競争相手のいない分野に関わることは魅力的であったし、誰もやらないなら自分がやろう」と、海津さんは使命感を感じたそうだ。
海津さんとNPOの出会いは、税理士になって間もない頃、NPO法人を設立しようとしていた女性2人に声をかけられたことがきっかけだ。海津さんが税理士事務所の立ち上げに向けて、中小企業大学校三条校で起業のノウハウを学んでいたところ、同じく法人設立のために参加していた女性たちは、税理士である海津さんに、法人の会計を担当してほしいと頼んだそうだ。当時、NPO法人を「聞いたことがある」程度しか知らなかった海津さんだが、この依頼を引き受けることにした。「お客さんが来てくれて嬉しい気持ちと、また新たな勉強をしなければならない、これは大変だ、という気持ちが混ざり合っていました」と、海津さんは笑って振り返る。
NPO法人の会計税務について勉強し始めると、それまで扱っていた一般的な企業とは違う独特さや珍しさから、次第に興味を感じ始めたという。また、「税理士はたくさんいて、偉大な先輩も多い。しかし、まだ詳しい人や競争相手のいない分野に関わることは魅力的であったし、誰もやらないなら自分がやろう」と、海津さんは使命感を感じたそうだ。
大学院へ進学、NPO会計税務の第一人者へ
2年ほど独学したのち、さらに本格的に学ぼうと働きながら大学院へ進学し、認定NPO法人の寄付税制について研究した。「どんな分野もそうだが、関心がなければさらりと流してしまうし、悩むこともない。しかし、知れば知るほど、学ぶほど、分からないことや悩ましい解釈に突き当たる。日常の業務を通してNPOの奥深さをますます感じるようになった」ことが、進学を決意した理由だ。そして、この時の論文が税理士会の会報誌に掲載されたそうだ。
大学院での勉強と並行して、NPO法人NPO会計税務研究協会が認定する資格、「NPOアカウンタント」を取得した。協会の講座を受講したNPO会計税務の専門家のみに与えられるもので、国内に180人、新潟には4人しかいない。また、認定NPO法人NPO会計税務専門家ネットワークのメンバーになったり、相談員として全国から寄せられる質問に回答したり、より実践的に知識を深めていった。どちらも、専門家の少ないNPO会計税務の第一人者たちが各地から所属しており、海津さんにとって、仲間と切磋琢磨しながら学び合い、情報交換ができる非常に刺激的な場であったという。
大学院での勉強と並行して、NPO法人NPO会計税務研究協会が認定する資格、「NPOアカウンタント」を取得した。協会の講座を受講したNPO会計税務の専門家のみに与えられるもので、国内に180人、新潟には4人しかいない。また、認定NPO法人NPO会計税務専門家ネットワークのメンバーになったり、相談員として全国から寄せられる質問に回答したり、より実践的に知識を深めていった。どちらも、専門家の少ないNPO会計税務の第一人者たちが各地から所属しており、海津さんにとって、仲間と切磋琢磨しながら学び合い、情報交換ができる非常に刺激的な場であったという。
未知な分野に関わるからこそ面白い
税理士になって20年、様々な法人や事例に出会い、海津さんはNPO会計税務の専門家として成長してきた手ごたえを感じている。税理士仲間からは報酬を気にする声も聞こえてくるが、これまでの経験はお金に代えがたいもので、「社会貢献しながら、未知なる分野に携われる面白さがある。NPO会計税務といえば、という話で私の名前が出るようになれば嬉しいし、士気が高まって仕事全体のパフォーマンスも上がっていく」と海津さんは言う。
しかし、自身の経験値や知識の向上を感じる一方で、NPO会計税務に携わる税理士はなかなか増えず、その原因はNPOに関心がないこと、さらにその原因は関わるきっかけがないことにあると考えている。日本税理士会連合会には公益活動対策部という、税理士の職能を活かした社会貢献を統括する部があり、その中にNPO法人支援も盛り込まれているものの、本格的に関わる税理士は少ない。社会貢献はしたくても、日々の業務が忙しく、なかなか新しい分野に入って行ける人が多くないのが現状だ。「将来的には、NPO法人に限らず、広く非営利セクターに関心を持つ税理士が増えてほしい」と海津さんは言う。
最後に今後の目標についてうかがった。
「まずは、担当しているNPO法人が、毎年の総会で決算が問題なく承認されること、そのために日々の会計処理をしっかり行なうこと。業務は繰り返しだが、そうした小さな積み重ねを大切にしたい。それから、税理士になって、まだ達成できていないことがある。それは、NPO法人が認定を取得するお手伝いをすることだ。現在、関与している法人で申請の計画があり、書類作成等を通して引き続き応援していきたい」
NPO法人NPO会計税務研究協会:http://www.j-inpact.com/
NPO会計税務専門家ネットワーク:https://NPOatpro.org/about.html
しかし、自身の経験値や知識の向上を感じる一方で、NPO会計税務に携わる税理士はなかなか増えず、その原因はNPOに関心がないこと、さらにその原因は関わるきっかけがないことにあると考えている。日本税理士会連合会には公益活動対策部という、税理士の職能を活かした社会貢献を統括する部があり、その中にNPO法人支援も盛り込まれているものの、本格的に関わる税理士は少ない。社会貢献はしたくても、日々の業務が忙しく、なかなか新しい分野に入って行ける人が多くないのが現状だ。「将来的には、NPO法人に限らず、広く非営利セクターに関心を持つ税理士が増えてほしい」と海津さんは言う。
最後に今後の目標についてうかがった。
「まずは、担当しているNPO法人が、毎年の総会で決算が問題なく承認されること、そのために日々の会計処理をしっかり行なうこと。業務は繰り返しだが、そうした小さな積み重ねを大切にしたい。それから、税理士になって、まだ達成できていないことがある。それは、NPO法人が認定を取得するお手伝いをすることだ。現在、関与している法人で申請の計画があり、書類作成等を通して引き続き応援していきたい」
NPO法人NPO会計税務研究協会:http://www.j-inpact.com/
NPO会計税務専門家ネットワーク:https://NPOatpro.org/about.html