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健康と福祉
2025.02.10
互いに寄り添い支え合い成長を信じきる『みんながゲートキーパープロジェクト』を広げたい
三条市
NPO法人新潟県ゲートキーパー協会 理事長
長谷川淳子さん
長谷川淳子さん

みんながゲートキーパープロジェクト
だれもが、身近な人のこころといのちを支えるためのゲートキーパーとなれる『みんながゲートキーパープロジェクト』。理事長の長谷川淳子さんに活動への想いを伺った。
『ゲートキーパー』とは、命の門番とも呼ばれ、身近な人の自殺の危険を示すサインに気づき、声をかけ、その人の話を聴き、必要な支援につなぎ、見守る人のことと言われている。新潟県ゲートキーパー協会は、これをさらに『生きる人を支援する人』と捉え直し、「相手を信頼し、成長することを信じきる人」と紹介している。
「死にたい」という吐露は、死にたいくらい苦しく、その苦しさが少しでも和らいだとしたら、「生きたい、成長したい」と根底では思っていると信じながら、寄り添う伴走者のような存在ではないか、と長谷川さんは言う。
新潟県ゲートキーパー協会は、このような『ゲートキーパー』が家庭に学校に職場に地域にと広がることで、互いに支え合う竹やぶのような社会になっていくことを願い、『みんながゲートキーパープロジェクト』を広げる活動を続けている。
『ゲートキーパー』とは、命の門番とも呼ばれ、身近な人の自殺の危険を示すサインに気づき、声をかけ、その人の話を聴き、必要な支援につなぎ、見守る人のことと言われている。新潟県ゲートキーパー協会は、これをさらに『生きる人を支援する人』と捉え直し、「相手を信頼し、成長することを信じきる人」と紹介している。
「死にたい」という吐露は、死にたいくらい苦しく、その苦しさが少しでも和らいだとしたら、「生きたい、成長したい」と根底では思っていると信じながら、寄り添う伴走者のような存在ではないか、と長谷川さんは言う。
新潟県ゲートキーパー協会は、このような『ゲートキーパー』が家庭に学校に職場に地域にと広がることで、互いに支え合う竹やぶのような社会になっていくことを願い、『みんながゲートキーパープロジェクト』を広げる活動を続けている。

新潟県ゲートキーパー協会の設立
1998年に自殺で亡くなる方が3万人を超え、2006年に自殺対策基本法が制定され、2007年には自殺総合対策大綱が制定されたことで、自殺が社会問題として捉えられるようになった。自治体や民間団体でも自殺対策の様々な取り組みが行われ、徐々に自殺者数が減少し、2019年には自殺者数が20,169人となり、2020年には2万人を切るのではないかと予想されていた。ところがコロナ禍で、社会情勢にともなう生活環境の大きな変化や有名人の自死報道などもあり、2020年は21,081人と増加。2022年は21,881人とさらに増加した。
新潟県でも、毎年多くの方々が自死で亡くなられている。新潟県の自殺死亡率は19.4と全国平均17.5を上回り、新潟県は自殺が多い県である。
2014年、日本ゲートキーパー協会が全県を対象にゲートキーパー養成講座を展開。そこで学んだ長谷川さんのような有志が研修を通して日本ゲートキーパー協会から講師認定を受け、2020年には県内の講師有志が参集し、新潟県ゲートキーパー協会を設立。同時に、学校現場と連携し新たなフィールドでの活動がスタートした。
新潟県でも、毎年多くの方々が自死で亡くなられている。新潟県の自殺死亡率は19.4と全国平均17.5を上回り、新潟県は自殺が多い県である。
2014年、日本ゲートキーパー協会が全県を対象にゲートキーパー養成講座を展開。そこで学んだ長谷川さんのような有志が研修を通して日本ゲートキーパー協会から講師認定を受け、2020年には県内の講師有志が参集し、新潟県ゲートキーパー協会を設立。同時に、学校現場と連携し新たなフィールドでの活動がスタートした。
味方になりきるコミュニケーション
ゲートキーパーの役割を、大人向けや子ども向けなどさまざまな対象に合わせ、伝えている。小学校、中学校、高等学校、特別支援学校など学校での出前授業や教職員研修、一般の方向けの入門講座、自治体主催のゲートキーパー講座などにも就航しているという。また、2020年度からは新潟県教育委員会とも連携し、県内の県立高校で始まった自殺予防プログラムに基づいた内容で教職員研修も行っているとのことだ。
新潟県ゲートキーパー協会が特に大切に伝えている『味方になりきるコミュニケーション』とは、気持ちがとても落ち込み、悩んでいる人がこの人は私の味方だと安心を感じられるような気持ちに寄り添う声かけや具体的なメッセージ、傾聴の方法などを提案している。講座の特徴として、つい言いがちな「がんばれ」などの励ましやアドバイスなどがつらい気持ちがあることを疑似体験できる体験型の講座とのことだ。頭でわかっていても、身体や心が動けないときの気持ちや心理的視野狭窄のように追いつめられる心境、死にたいくらい苦しい気持ちをワークやグループシェアを通し体感することで自分ごととして感じられそうである。
新潟県ゲートキーパー協会が特に大切に伝えている『味方になりきるコミュニケーション』とは、気持ちがとても落ち込み、悩んでいる人がこの人は私の味方だと安心を感じられるような気持ちに寄り添う声かけや具体的なメッセージ、傾聴の方法などを提案している。講座の特徴として、つい言いがちな「がんばれ」などの励ましやアドバイスなどがつらい気持ちがあることを疑似体験できる体験型の講座とのことだ。頭でわかっていても、身体や心が動けないときの気持ちや心理的視野狭窄のように追いつめられる心境、死にたいくらい苦しい気持ちをワークやグループシェアを通し体感することで自分ごととして感じられそうである。

答えの出ない質問が活動の原点
新潟県ゲートキーパー協会で講師活動をしている長谷川さんだが、なぜ、自殺対策という分野の活動に取り組もうと思ったのか原点を伺った。
15年前に長谷川さんにとって大切な存在の人がうつ状態の末、自死された。長谷川さんはその人を支え、以前の笑顔のその人に戻ってほしいと願い、自分にできることとして話を聴き、気持ちに寄り添いたいと考え、電話や会えた時に傾聴共感を心がける関わりをした。
だが、残念ながら、その人は自死され、長谷川さんは悲しさとともに、その人はどうしたかったのか、どうしてほしかったのか、自分はどう関わればよかったのか、答えの出ない宿題を出されたような想いを抱えた。そして、その宿題の答えを探すように「傾聴とは、共感とは」と名の付く講座の受講や心理学などを手当たり次第に学ぶようになったそうだ。その中で、「ゲートキーパー」という言葉を知り、日本ゲートキーパー協会の味方になりきるコミュニケーション講座を受講した。そこで長谷川さんは、その人の味方でいたつもりだったが、その人は周囲に自分のことをわかってもらえたとは思えず、孤独だったのかもしれない。また、自分自身がその人の苦しみが少しでも軽くなれば、前に進みたいと思っていることを信じきれず、「なぜ変わろうとしないのか」とその人に対して自分の価値観を押し付けていたことに気づき、味方になれていなかったのではないかと、愕然としたそうだ。
相手のことを想い、愛情を持って、相手のためにという声かけや行動であっても、相手を傷つけたり、追いつめたりしてしまうことがあることを痛感した。悩んでいる人とともに、悩んでいる人を支えながら不安や迷いを感じている支援者の気持ちに寄り添いたい、一緒に考えたいと、活動を始めたとのこと。
新潟県ゲートキーパー協会の講師活動のほかに、新潟市の県立高校でスクールカウンセラーとして働き、生徒や保護者の味方になりきり、気持ちに寄り添うカウンセリングを行っている。
15年前に長谷川さんにとって大切な存在の人がうつ状態の末、自死された。長谷川さんはその人を支え、以前の笑顔のその人に戻ってほしいと願い、自分にできることとして話を聴き、気持ちに寄り添いたいと考え、電話や会えた時に傾聴共感を心がける関わりをした。
だが、残念ながら、その人は自死され、長谷川さんは悲しさとともに、その人はどうしたかったのか、どうしてほしかったのか、自分はどう関わればよかったのか、答えの出ない宿題を出されたような想いを抱えた。そして、その宿題の答えを探すように「傾聴とは、共感とは」と名の付く講座の受講や心理学などを手当たり次第に学ぶようになったそうだ。その中で、「ゲートキーパー」という言葉を知り、日本ゲートキーパー協会の味方になりきるコミュニケーション講座を受講した。そこで長谷川さんは、その人の味方でいたつもりだったが、その人は周囲に自分のことをわかってもらえたとは思えず、孤独だったのかもしれない。また、自分自身がその人の苦しみが少しでも軽くなれば、前に進みたいと思っていることを信じきれず、「なぜ変わろうとしないのか」とその人に対して自分の価値観を押し付けていたことに気づき、味方になれていなかったのではないかと、愕然としたそうだ。
相手のことを想い、愛情を持って、相手のためにという声かけや行動であっても、相手を傷つけたり、追いつめたりしてしまうことがあることを痛感した。悩んでいる人とともに、悩んでいる人を支えながら不安や迷いを感じている支援者の気持ちに寄り添いたい、一緒に考えたいと、活動を始めたとのこと。
新潟県ゲートキーパー協会の講師活動のほかに、新潟市の県立高校でスクールカウンセラーとして働き、生徒や保護者の味方になりきり、気持ちに寄り添うカウンセリングを行っている。

互いにできることをできる範囲で、みんながゲートキーパー
近年、全国の自殺者数は減少傾向にあるが、コロナ過の2020年には増加し、また、子ども若者の自死数は増え続けている。長谷川さんは今後の活動について、「私たちの活動は小さなものかもしれません。でも、自分がゲートキーパーとして周囲の人たちに味方になりきるコミュニケーションを贈り続けることで、少しずつでも優しい変化が広がり、家庭、学校、職場、地域みんながゲートキーパーとなることを願い、一歩一歩進んでいきたい」と想いを語った。
『味方になりきるコミュニケーション』を互いに贈り合うことで、「自分はここにいてもいい」「わかってくれる人がいる」と安心して生きることができる居場所が、それぞれの人に増えていくことを願いたい。
『味方になりきるコミュニケーション』を互いに贈り合うことで、「自分はここにいてもいい」「わかってくれる人がいる」と安心して生きることができる居場所が、それぞれの人に増えていくことを願いたい。
NPO法人新潟県ゲートキーパー協会のHP