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子育て・教育
2019.03.26

おもちゃと遊びで子どもの成長に寄りそう

阿賀野市
おもちゃコンサルタントマスター
岡田 真弓さん
保育の道へ
阿賀野市の子育て支援センターにこにこでは、子どもたちの元気な声が響いている。岡田真弓さんは保育士として働きながら、こうした地域の子育て支援センターで木育広場をはじめとした様々な活動に取り組んでいる。活動の内容やそこに込めた想いについて伺った。

岡田さんは幼いころ、恥ずかしがりやで泣き虫で、いつも幼稚園の先生にくっついていたそうだ。先生はとても優しく接してくれた記憶があるという。「生まれてから5、6才頃までは、人間形成の土台の時期で、持っている力をまだまだ秘めている時期。その力を引き出したり、認めたり、待ってくれる、そんな人って素敵だな」とずっと感じていた岡田さんは、保育の道を志した。

夢を叶え保育士になったものの、最初の頃は目の前にいる子どもの対応だけで毎日精一杯だった。主任という統括的な立場になってからは、子ども同士のトラブルや何となくうまくいかないクラス運営などに悩み、先生だけが頑張っていても解決できない他の原因があるのではないか、と感じるようになった。
おもちゃコンサルタントとの出会い、そして木育広場の開催
ちょうどその頃、「おもちゃコンサルタント」という資格を知った。保育士会の講演会で東京おもちゃ美術館の館長、多田千尋さんの話を聞いたことがきっかけだ。子どものまわりにはいつもおもちゃがあり、遊びの中でトラブルが起こることも多い。そうした経験から、何かヒントが得られるのでは、と興味を持ち、勉強を始めた。

「おもちゃコンサルタント」は、日本で唯一の総合的なおもちゃの認定資格だ。赤ちゃんとおもちゃの関わりから、高齢者のリハビリ、ヒーリングおもちゃまで幅広い視点でおもちゃを捉え、優良なおもちゃや遊びをバランスよく与えることができる「心の栄養士」である。資格取得を目指す中で、岡田さんは、保育のプロとして子どもの心の成長を促す機会をもっと増やさなければ、と感じたそうだ。美しいものにふれると感性が育つと言われるように、おもちゃは子どもが初めてふれるアートである。岡田さんは難しい課題をこなし、おもちゃコンサルタント、さらに上のおもちゃコンサルタントマスターの資格を取得した。

資格取得後、NPO法人日本グッド・トイ委員会(現在の名称は認定NPO法人芸術と遊びの創造協会)から木のおもちゃ広場「木育広場」の開催希望を募る話があった。「木育」は北海道で生まれた言葉で、幼児期から木と関わることで木に対する親しみや理解を深め、木を生活に取り入れたり、森づくりに貢献したりできる人の育成を目指す教育活動のことだ。木育広場は今までにない教育活動・子育て支援になると考え、岡田さんは名乗りをあげた。

これをきっかけに、岡田さんは園や地域の子育て支援センターで木育広場の活動を行なうようになった。新潟日報が運営する、親子で遊べる施設「日報こどもマリーナ」に企画書を持ち込んで採用されたこともあり、現在も広場は続いている。岡田さんは今では県内7か所ほどで木育広場を開催しているが、始めた当初は、大きな壁もあったという。

「木育」という言葉が知られていなかったため、広場を開催しても2、3組の親子しか来ないこともよくあった。また、言葉や活動が広がるにつれて、「木育って、何?」と聞かれることが多くなったが、岡田さん自身、明確な答えを持っていないことに気づきはっとしたそうだ。改めて、「木育」について学び直そうと、全国会議に参加したり、木育インストラクターの資格をとったり、懸命に模索した。

そして今、岡田さんが目指す「木育」はこうだ。
「保育士として子どもの成長に合わせた良質なおもちゃを提供し、木のおもちゃの良さを伝えると同時に、木に親しみを持ってもらい森林の大切さを伝えること」
さらに、木の良さとは何か、聞いてみた。「木には肌のぬくもりが残るので、子どもは安心して遊べる。安心して遊べると好奇心や意欲を発揮できるし、遊ぶことで社会性や工夫を学ぶ。こういう力が根底にあれば、生きる力につながる。だから、国産、輸入品にこだわらず、木ならではの素晴らしさを伝えたい」と岡田さんは言う。
岡田さんが目指す保育とは
現在、保育の現場は大きく変わり、かつての一斉保育から、子どもが自発的かつ主体的に遊べる保育が求められ、先生たちは試行錯誤している。そのような中で、岡田さんは「おもちゃコーディネーター」や「絵本専門士」などの資格を取得し、より良い保育環境を研究し続けている。

今後の展望についてたずねたところ、「妊婦の方にも、おもちゃの良さや絵本を知ってほしい。子どもが生まれる前に伝えられたら、少し見通しが立てられるかな。あとは今までやってきたことを、子どものために、地域のために、そして保育に携わる人のために続けていきたい。自分の信念に合っているか時々振り返りながら、丁寧に」と、岡田さんは力強く語った。

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