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健康と福祉
2026.03.19

切なさから決意へ ~コロナ禍をきっかけに「自分でやるしかない!」と始めたフードバンク事業~

燕市
特定非営利活動法人 フードバンクつばめ
青柳 修次
活動にかける想い
私が初めて「フードバンク」という言葉を知ったのは、令和2年の初夏のことでした。コロナ禍のさなか、近くに頼れる人もなく孤立するひとり親家庭の厳しい現状と、その方々を懸命に支える県内のフードバンク団体の活動を、テレビ報道で目にしたのがきっかけでした。さらにその年の冬、子どもたちに贈るクリスマスケーキの予算が足りないとフードバンクの方から寄付の依頼を受けたことが大きな転機となりました。
そのときに初めて、新潟県の自殺率が全国トップであること、地元の燕市にはフードバンク団体が存在しないこと、そのため近隣市の団体が燕市の100世帯以上の困窮世帯を支援していることを知りました。さらに、燕市には「子ども食堂」もなく、そして「子ども食堂」の本来の役割は食事の提供ではなく、子どもたちにとっての“安心できる居場所”をつくることだと教えていただきました。
燕市に暮らしながら、こんなにも多くの方が困っていることを知らなかったことと、なぜ故郷にはフードバンクがないのだろうという切なさと疑問が、次第に強い思いへと変わっていきました。当初は「誰かがこの危機的な状況を変えてくれないだろうか」「きっと誰かが立ち上がってくれるはずだ」という思いでいましたが、現状は全く変わりませんでした。
私は中小企業の経営者ですが、子どもの頃に所属していたボーイスカウトの「誰かのために役立つ」という教えが根底にあります。大変な道になることは分かっていましたが、それでも見て見ぬふりをすることは、どうしてもできませんでした。
こうして友人や知人に声をかけ、多くの方々の助言や支えをいただきながら、手さぐりではありましたが、支援活動をスタートすることができました。
それ以来、拠点を3か所設け、「子どもの居場所づくり」「食の支援」「教育支援」「交流・イベント開催」「衣類や日用品のリユース事業」など、できることを一つずつ積み重ねてきました。日々、子どもたちが安心して笑顔で過ごせる地域を目指し、包括的な支援活動に取り組んでいます。
食でつながる支援の輪 ― フードバンクの取り組み
現在、私たちが力を入れている活動は、「食の支援」「子ども食堂(子どもの居場所づくり)」です。
食の支援では、県内で唯一となる24時間・非対面で利用できる無人食糧庫を運営しています。この食糧庫を通じて、主に、ひとり親世帯や子育て中の生活保護世帯を対象に支援を行っています。食糧庫は月2回まで利用できる仕組みで、利用者さんからは「家計の助けになっている」や「お米がもらえてありがたい」といった感謝の言葉が数多く届き、その一つひとつが私たちの活動を続ける大きな励みになっています。(無人食糧庫の令和7年登録者数:約800世帯/登録世帯の18歳未満の子供の数:約1,300名/年間総支援量:約80t)
また、一方で、「収入は増えないが物価が上がり、生活するだけで精一杯」、「貯金を切り崩しながら暮らしている」といった声や、「子どもに我慢をさせてしまっている」、「自分の食事を減らしている」、「将来が見えず不安でいっぱい」といった切実な声も届いています。
土曜日に開催している子ども食堂では、事前予約制で毎回完売しています。子ども食堂は、単に食事を提供するのではなく、子どもたちが仲間と食事を囲み、ゆっくりと安心して過ごせるように温かい「居場所」づくりを大切にしています。
さらに、より多くの方に活動を知っていただき、支援の輪を広げるため、昨年の夏から、市内の銀行や道の駅、郵便局などにご協力いただき、食品寄付ボックスを設置しています。店舗を利用される方が、家庭で余っている食品や日用品を持ち寄り、ボックスに入れてくださいます。集まったご寄付の品は、無人食糧庫を通じて困っている家庭にお渡しています。お互い助け合い、支え合う支援の輪が確実に広がっていると感じています。
食支援から居場所づくりへ ― 子どもと地域をつなぐ拠点
私たちは、食支援だけでなく「子どもの居場所づくり」にも力を注いでいます。
仲町拠点のフリースペースは、子どもたちが自由に安心して過ごせる場所として運営しています。放課後や休日になると多くの子どもたちが集まり、ゲームをしたり、併設の駄菓子屋で買ったお菓子を囲んだりと、それぞれが思い思いの時間を過ごしています。拠点はいつも子どもたちの明るい声と笑顔であふれ、賑やかな場所になっています。
また、クリスマスイベントやお正月の餅つき大会、地元のお祭りの休憩所として開放したりと、地域の皆さまにも楽しんでいただける場となっています。年間の利用者数は約16,000人にのぼり、子どもたちだけでなく、地域全体がつながる拠点となることを目指しています。
さらに、当団体では「寺子屋」も行っており、食糧庫を利用している世帯の小・中学生を対象に、ボランティアの先生による無償の個別指導を行っています。毎週土曜日の午前・午後の2部制で実施し、現在21名のボランティアの皆さんが、子どもたちに寄り添いながら丁寧に教えてくださっています。保護者の方からは、「成績が上がった」、「コミュニケーションがとれるようになった」など、うれしい声も届いています。昨年からは市と連携を図りながら、より充実した学習支援体制づくりに取り組んでいます。
子どもの貧困に向き合うための一歩を、あなたとともに
これまでの活動が公益性の高いものとして認められ、昨年令和7年12月に新潟県より認定NPO法人として認めていただきました。これにより当法人へのご寄付は税制上の優遇措置の対象となり、ご支援いただきやすい環境が整いました。しかしながら、支援を必要とする家庭は年々増え続けています。特に昨今の物価高騰は家計を直撃しており、支援を求める家庭が急増しています。運営を支えるための資金は決して十分とは言えず、現在、運転資金が大変厳しい状況にあります。
子どもの貧困と向き合うためには、本来、政治が責任を持ち、制度を整えていくことが不可欠です。しかし、現実には制度だけでは支えきれない子どもたちがいます。そうした子どもたちを支える事ができるのが、一人ひとりの「少しの優しさ」や「気づき」、そして「行動に移す勇気」だと私は信じています。
皆さまからのご寄付は、子どもたちの食を支え、安心して過ごせる居場所となり、学びの機会へとつながります。支え合いの輪が広がれば、生きづらさを抱える人の心はきっと和らぐと信じています。
今、あなたの優しさを必要としている子どもたちがいます。どうか、私たちの活動にお力をお貸しください。そして一緒にやさしい社会をつくっていきませんか?

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