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健康と福祉
2023.01.12

「困った時は、お互いさま」 できる事をできる時間で支え合う

三条市
認定NPO法人地域たすけあいネットワーク 副理事長
野島理恵子さん
三条市「かじまちの家」を拠点に地域に根差した活動を行う認定NPO法人地域たすけあいネットワーク。副理事長の野島理恵子さんに活動への想いを伺った
■はじまりは地域の困りごとをみんなで助け合うことから
 地域たすけあいネットワークは、三条市で、できることをできる時間で支えあう住民参加型システムのたすけあい事業、土間ショップや蔵ギャラリー、こども食堂などの地域コミュニティ事業、訪問介護事業、デイサービスや障害者支援を行っているNPO法人だ。
 団体設立のきっかけは、1998年に発足した「介護保険を考える会」によって行われた、映画「住民が選択した町の福祉」(※1)の上映会だ。この上映会の参加者を中心に、「得意なことを活かして、住民同士で助け合う組織をつくりましょう」と呼びかけ、1999年7月に任意団体「地域たすけあいネットワーク」を設立。困ったことがあるときに会員同士が助け合う活動をスタートした。
 副理事長の野島さんは設立年の11月に偶然チラシを受け取ったことで、活動に参加するようになった。「薬を受け取りに行くくらいのお手伝いなら自分でもできるかと思い、事務所に問い合わせると快い返事で受入れてもらった。住みよい地域を作っていきたいと議論する先輩方の姿に、三条にこんな人達がいたのかと毎日通って刺激を受けていた」と話す。
 設立当初、団体の経営はなかなか厳しく、活動を継続するにはどうしたらいいかを話し合い、介護保険事業に参入することをめざして、2001年2月にNPO法人格を取得。みんなでヘルパーの資格も取得した。「まさか自分がヘルパーの資格を取ることになると思っていなかった」と野島さんは笑う。これが功を奏し、経営は徐々に軌道に乗っていった。

(※1)監督 羽田澄子 1997年作品 町ぐるみで福祉に取り組む秋田県鷹巣町の様子を追ったドキュメンタリー
■かじまちの家との出会い、そして地域の居場所づくり
 事業の拡大に伴い、新たな拠点を探していたところ出会ったのが、現在拠点とする「かじまちの家」だ。金物屋であった建物はひどく傷んだ状態であったが、敷地には庭や蔵もあり立派なものであったため、地域の歴史が感じられる建物を活かそうと購入を決定。購入資金の2,000万円は600人いる会員に出資を募り借入れた。畳の仏間や廊下と土間は、車椅子などで使いやすいように板張りのバリアフリーに、母屋の風呂はひのき風呂にするなど改築を行い、2004年に「かじまちの家」に拠点を移転。「デイサービスかじまちの家」事業を開始した。その後の経営は順調で、10年で返済予定だった借入金は、5年で返し終える事ができた。「かじまちの家」は入り口に駄菓子や地域の品を扱う土間ショップがあり、廊下を奥に進むとデイサービスとカフェ、蔵にはアート展示スペースもあり、子どもから高齢者の方まで世代を超えて親しまれている。
 「かじまちの家」では、地域の居場所づくり「コミュニティカフェ・ふらっと」も実施している。
 東日本大震災の被災者に、集団生活での疲れを癒すため、家族での居場所を提供したことをきっかけに、ここを地域の居場所にしようという取組みが始まった。
 新潟市にあった常設型地域の茶の間「うちの実家」の具沢山の味噌汁を参考に「具沢山汁は栄養になるし、低価格でできそうだ!」と具沢山汁とごはんを300円で提供した。多くの人の利用があり、職員も一緒に食事をしていたので、地域のコミュニティスペースとなっていた。(現在は新型コロナウイルス感染症の影響により休止中)
 また、わくわく食堂(子ども食堂)は第2第4日曜日に営業している。ボランティアによるイベントなどがあり、子どもたちは楽しみながらごはんを食べていたが、コロナ禍の現在は、お弁当を配布するかたちで続けている。
■仕事よりも熱中するプロジェクト活動
 法人のスタッフは登録ヘルパーも含め60人程、それぞれさまざまな働き方をしている。「みなさん力をもっていて、この会を選んできてくれた。その人たちの力をもっともっと活かせないかと考え、様々な委員会活動やプロジェクト活動(※2)を設けている」と野島さん。土間ショップとふらっとは委員会、わくわく食堂、オレンジカフェ(※3)はプロジェクトで運営されている。入りたい人に属してもらい、辞めた人や、勤務の少ない人にも部活動のように参加してもらっている。「会員であればプロジェクトに所属することができる。職員だけのものではないと思っている。まだまだ会員のみなさんまで巻き込めていないが、みんなのものとしてこの会を利用してほしい」と野島さんは言う。スタッフそれぞれが興味のあることなので、とても熱心に取り組んでいる。その活動の中で、スタッフの新しい面に気づくこともできるそうだ。
 蔵ギャラリーも会員であれば利用できるので、作品を見てもらいたくて入会される方もいる。展示期間は自由で、ポスターやチラシなどはスタッフが製作してくれる。企画などが新聞で取り上げられると、県内各地から新しい人に来てもらえ、会の活性化につながっている。土間ショップでは、会員手づくりの作品や野菜なども販売している。

(※2)委員会活動…常設型の活動をする プロジェクト活動…まずはやってみようという活動
(※3)オレンジカフェ…認知症の当事者と家族が、地域住民や、専門家と身近な場所で集い交流できる場所
■次の世代へつなげる
 更に、団体としての信頼を高めるため認定NPO法人(※4)となることをめざし、寄付を増やすためにチラシを作成して、会員やスタッフの知人などに呼び掛けた。「たくさんの人たちから寄付が集まり、長年助け合いの活動をしてきたことの功績、気持ちが認めていただけたのかなと思って、本当にありがたかった」と野島さんは話す。2020年4月に無事認定NPO法人となることができた。野島さんは「申請書類は作成が大変だと聞いていたが、事務局が普段からきちんと管理しているため、クリアすることができた。NPOは経理を苦手とするところが多いと聞くが、この点はよそに自慢できるかなと考えている」と誇らしげに話す。また、「認定がつく、つかないにかかわらず、地域の人たちに知ってもらい、『さすが、たすけあいネットワークさん、たよりになるわ!』と思っていただきたい。今後は企業などと連携することで認定NPOを活かしていきたい」と語る。
 野島さんは来年定年を迎えるため、今年から副理事長になり、新しい理事長に引き継ぎをしている。保険制度ではできない部分(雪かき、障子はりなど)を、会員に寄り添って助ける地域に根差した活動を続けていくこと、そして、理事長をみんなで支え、地域の困りごとを自分事で考えて活動していくことを大切に思っている。そのために月1回スタッフ全員でミーティングをするなど、風通しが良く顔が見えている組織を心がけているそうで、20年を超えて活動が続いている理由の一端が伺えた。
 現在は、コロナであまり思い切ったことができない状況ではあるが、若い人たちの考えも尊重しながら、会としての想いをつなぎ、今までやってきた事を少しでも継続できるようにやっている。「時代の変化に柔軟に対応し、今必要なサービスを制度より先に実行できるのがたすけあいの'’売り’'。困ったときはお互いさまのたすけあいの精神を忘れず、次の世代にもつなげていきたい」と野島さんは想いを語る。
 暖かな日差しの中、ウッドデッキから眺める素敵な庭と心地良い空間「コミュニティカフェふらっと」の営業再開が待ち遠しい。

(※4)認定NPO法人…NPO法人のうち、その運営組織や事業活動が適正な団体で、一定の基準に適合したとして、所轄庁(都道府県知事又は政令市長)の認定を受けた法人。
地域たすけあいネットワーク

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