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健康と福祉
2020.03.26

来てくれる人たちの笑顔が原動力。楽しく健康で暮らすために集いの場をつくる。

加茂市
NPOかも小町 代表
小柳 登代美さん
地域のお茶の間、子ども食堂など居場所づくりの活動が全国各地で広がっている。新潟県内でも合わせて数百の居場所があるが、北越の小京都といわれる加茂市には、NPOかも小町が運営する「しゃべり場・かも小町家」と「しゃべり場・こまち2号店」という地域の集いの場がある。代表である小柳登代美さんに設立から現在に至るまでの想いを伺った。
「ほっとできる居場所があったら」
小柳さんはもともと、退職後も健康で楽しく暮らしたいとの思いからNPOかも小町を立ち上げ、阿波踊りを取り入れた介護予防活動に取り組んでいた。取り組みを続けていく中で次第に、地域の課題について取り組みたい、福祉の分野で何かできないかと考えるようになっていたところ、東日本大震災が起こった。津波で一瞬にして命が失われていくのを目の当たりにして「したいことがあってもいつできなくなるかわからない、今やれることをしよう」という思いが沸き上がったという。当時、仕事と実母の介護を両立する生活をしていた小柳さんは、自身の介護経験から、ほっとできる居場所があったら良いなと思い、2011年4月から居場所の開設準備を始めた。

2011年11月、空き家だった持ち家を活用し、訪れた人が「楽しかったね」「よかったね」と笑って帰ることを目的に、ただ一緒にお茶やおしゃべりをして交流する場として、「しゃべり場・かも小町家」を開設した。口コミで広がり、障がいをもつ子の親、休学中の大学生、精神障がいの当事者、認知症の高齢者など、様々な人が出入りするようになった。小柳さんに、来なくなる人がいると心配にならなかったかと尋ねると、「来なくなることは悪いことじゃなく、良いこと。居続けることは社会参加にならないから。来なくなったら、それは巣立っていったんだと思う」と当時を振り返って語る。
利用者もスタッフも全員が運営に関わる
当初は、誰でも必要な人に利用してもらおうと始めた活動だったが、高齢者の見守りに対する地域のニーズが高まってきたことから活動内容も変わり、現在は、認知症の方や高齢者の居場所づくりに力を注いでいる。

2019年からは、知人の縁もあって、新たにもう一つ「しゃべり場・こまち2号店」を開設している。2号店では、食事を提供することに加えて、クラフト作成やフラワーアレンジメントなど様々な教室・イベントを開催している。参加している人たちにとって楽しいということもあるが、クラフトなどで手を動かすことは認知症予防にもつながっており、とても好評だ。認知症になったら何もできないのではなく、まだできる何かを引き出して楽しい時間にしたいと小柳さんは語る。

「しゃべり場・かも小町家」と「しゃべり場・こまち2号店」は互助の活動の場でもある。利用する人は利用料やイベント・教室の参加費を払ったり、ボランティアスタッフは特別何か利用者に教えるわけでもなく「今日は何をしようか」というところから一緒に考えその日を過ごしたりと、それぞれの形で全員が運営に関わる参加者だ。認知症の方と向き合う中で、小柳さんは「正しいことが必ずしも良いことではないし、マニュアル通りにはいかないことがある。私たちの目線で良いか悪いかではなく、本人たちにとって心地の良い場所を考えることが大切」と自身の学びを語る。
「もっとオープンで気軽な場所にしたい」
現在、しゃべり場は平日週4日開放しており、認知症のある方もない方も定期的に訪れている。家では何もする気が起きなくなっていた方が、しゃべり場に来る時は着替えや支度をして、化粧もする。通い続けることで友達もできて、楽しく、体調や顔色も良くなってくる。このような変化や利用者の家族の声を日々見聞きしているそうだ。

小柳さんの活動の原動力はとなっているのは、来る人たちの笑顔。「また来たい」と楽しそうな利用者の様子はお金には代えられない。しゃべり場を始めた頃の「ちょっと母を見てくれる人がいたら良かった」という自身の介護経験から、利用者の家族が安心して仕事に行ける環境ができることを願っている。

今後は「もっとオープンで気軽に入れる場所にしたい」と小柳さんは話す。認知症の方だけでなく、本当は誰でも来ていい集いの場だということがなかなか伝わらないと感じており、もっと地域の様々な方が関わりを持つことができる事業として、子ども食堂ならぬ「みんなの食堂」を運営するための準備を始めている。


小柳さんのお話には「最後は笑って帰ろう」「とにかく楽しい時間にしよう」という設立当初からの想いが溢れていた。話している姿はとても生き生きとしていて、「楽しく健康で暮らしたい」という願いが、訪れる人と家族の笑顔につながっているように思えた。

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