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環境保全
2022.03.22

自然の中で無心に汗を流し、里山も自らもリフレッシュ!

新潟市北区
NPO法人 ウッディ阿賀の会 次席副代表理事 事務局長
吉岡民翁さん
 荒廃が進む里山を整備・育成し、美しい里山に再生していくことを目的に、森林整備の活動に取り組むNPO法人ウッディ阿賀の会。
 次席副代表理事 事務局長 吉岡民翁さんに団体設立の経緯や想いについて伺った
■きっかけはログハウスづくり
 団体設立のきっかけは、新潟林業事務所が県産材普及のため1998年に開催した「ブナ林里山見学会」だ。見学会の後、参加者らにより“間伐材を利用してログハウスを作りませんか”をキャッチフレーズに団体設立が呼びかけられ、新聞にも取り上げられたことにより80人ほどが集まり、ウッディ阿賀の会は発足した。2002年2月には、活動の幅を広げるためにNPO法人化し、当初の目的であったログハウスは同年9月、三川村(現阿賀町)の里山に4年の歳月をかけて完成させた。
 吉岡さんも「ブナ林里山見学会」の参加者のひとりだ。自分で別荘を作れたらという思いを持って入会し、夢は実現されていないが現在も精力的に活動している。
■活動のフィールドは多岐にわたる
 現在は、新潟市中央区と阿賀野市を中心に活動を行っている。
 毎月第2・第4土曜日に新潟市の西海岸公園内でニセアカシアの伐採や下草刈りといった保全整備活動を行い、4・6・8・10月の第4土曜日は阿賀野市安田で人工林を間伐して、光が地表に届く風の通りの良い森に育てている。
 他にも年に数回、団体や個人から木を倒して欲しいなどの依頼を受けることもある。道路際からはみ出たり、電線に干渉しているニセアカシア等の支障木の伐採依頼をうけたり、五泉市の里山で育ちすぎた約60本の杉を延べ4日かけて伐採したこともある。危険が伴う作業のため、伐採を行うのは「伐木等の業務に係る特別教育」受講済者のみで、未修了者は先輩の指導の下で倒した木材の玉切り(※1)のみを行っている。会員の中には活動を行ううちに、Myチェンソーを入手した方も多く、3台も持っている方もいるという。
 また、2004年7月に「7.13水害救援ボランティア」として三条市へ、2007年7月に「中越沖地震災害復旧ボランティア」として柏崎市への出動したことがきっかけで災害救援にも参加するようになった。
 活動は新潟県に留まらない。千葉県鋸南町や宮城県丸森町では、培ったチェンソーの技術を活かして、災害被災地のがれきや倒木処理のボランティアとして活動を行った。また、知人の依頼で有志を募って長野県白馬村に伐木と薪採りに行った事もあるそうだ。「ウッディ阿賀の会は他のボランティア団体と比べるとチェンソー以外にもロープウインチ(※2)、運搬車やチッパー(※3)など機材も充実しており、活動の幅が広がってきている。」と吉岡さんは話す。

※1 立木を伐倒して枝を払い,用途にあわせて一定の材長に切断して丸太にすること。
※2 「巻き上げ機」のことで、主に木を寄せ集めたり、木を引っ張り上げるために使用する。
※3 木をチップ状に粉砕する機械。
■新潟市「アダプト・プログラム」第1号
 活動場所の一つである新潟市西海岸公園では、新潟市の「アダプト・プログラム」に基づき森林の整備を行っている。「アダプト・プログラム」とは、公園や緑地を養子に見立て、団体が「里親」になり、引き受けた区域で、清掃や植栽の管理を担ってもらうという制度で、ウッディ阿賀の会は2003年にこの制度の第1号として登録された。
 西海岸公園で活動していると、「ご苦労様です」や「皆さんのおかげで森が明るくなりました」などと声をかけてくださる方もいるそうだ。切り倒した木は玉切りにして希望するメンバーに提供するので、薪ストーブの薪の調達がきっかけで入会する人もいるそうだ。
 森林の整備の他にも、薪割り体験や木工教室等のイベントを開催し、近隣住民や子どもたちに西海岸の環境保全の大切さを知ってもらう取組も行ってきた。また、間伐した木材をボランティア団体に提供している。提供された木材は、置物やコースターの材料となり、これらの販売収益は子ども食堂やアフリカの子ども教育団体へ寄附されるという。
■自然に癒されて
 「NPO法人として存続し活動を続けるには、法律に則った運営や情報公開が求められる。それを20年も続けていることはそれだけでも実績になるのではないか。メンバーも年をとってきているが続けることに意味がある。」と語る吉岡さん。今後の課題は資金調達と世代交代という。「現在は手弁当で活動しているので、助成金等を活用しながら必要なものを調達し、活動をしっかりホームページで公開して、興味を持ち参加してくれる人が増えてくれればいい。」と吉岡さん。現在の会員数は30代から80代の33名、活動に参加するのはその半分ほどだが、参加しない方も会費を払って活動を応援してくれている。女性メンバーも活躍中だそうだ。自然の青空の下で良い空気を吸い、ご飯をたべながら情報交換をするだけでも意義がある。
 「現代のストレス社会の中で、無心になって伐採したり、枝をチッパーで粉砕しながら汗を流す作業は、根を詰めがちなデスクワークの方にお勧め。作業日が決まっているので生活のリズムもでき、ストレス発散にもなる。精神の疲れは汗を流すことで解消される。家に帰ってから入浴後の晩酌も楽しみのひとつ。自分のストレス解消が、何らかの形で社会の役に立っているのであれば、良い趣味と言えるのではないか。」と吉岡さんは笑う。活動に興味を持たれた方は、ぜひ一緒に汗を流されてはいかがだろうか。
ウッディ阿賀の会

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