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社会教育
2020.11.24

人とのつながりを大切に「もう一つの居場所」作りに励む

三条市
フリースクール ヒュッゲ 代表 
関口 健志さん
不登校・ひきこもりなどで生きづらさを感じている子どもたちに「自分らしく生きる、もう一つの居場所」としてフリースクールを開校したヒュッゲ代表の関口健志さんに活動への想いを伺った。
「もう一つの居場所」をつくりたい
大学時代から家庭教師のアルバイトを行なっており、働いていた会社が三条市に事務所を開設するということで、卒業後も家庭教師として働き続ける道を選択した。家庭教師は様々な子どもを受け持つことになるが、仕事を続けていくうちに事情を抱えている子どもとの関わりも多くなった。そうした子どもと接するうちに、不登校の原因は子どもではないのではないか、という想いが強くなった。自身の身近な関係者がひきこもりを経験しているなど、生きづらさを抱えている存在が人事には思えなかったことから、仕事を続けながら「ひきこもり支援相談士」の資格を取得した。そして、知り合いの保護者からも「子どもの居場所作りをしてほしい」という声もあり、フリースクールの開校を思い立った。

開校にあたり、様々なプランを検討したが、最初は小さくはじめようという結論に至り、縁もあり個別指導塾の教室を借りる形で2019年1月にフリースクール「ヒュッゲ」を開校した。学校に通うことは世間から見ると当たり前のことかもしれないが、関口さんは「学校へ行かなくても、自分の力で切り拓いていく人は多数いる。多種多様な生き方があることを伝えたい」と開校への思いを語った。
子どもの成長のきっかけづくり
「ヒュッゲ」には、毎日来る子どもや週に数回、月に数回など子どもの状況に応じて様々な頻度で来校している。「主役は子どもたちや生きづらさを抱えている人。家ではない居場所作りや外に出るきっかけを提供することにより成長してほしいと願う」との想いから積極的に外とのきっかけづくりを意識しているという。

あるゲーム大会イベントにフリースクールの子供を誘ったことがあり、ゲームが得意な子だったため、対戦型のゲームで優勝してしまった。さらに取材でテレビ局が来ていたことから、その子を取材することにもなり、立派にやり遂げ成長するきっかけ作りになったのではと回顧した。小さなきっかけではあるが、フリースクールだと多様なつながりが生まれる。そこもフリースクールの良さだと語る。
人が人をつなぐ、時間やお金にとらわれず人とのつながりを大切にしたい。
フリースクールでの活動の他に、不登校を考え話し合うきっかけづくりにも力を入れている。その一つとして「不登校は不幸じゃない」というイベントにも携わっている。もともとこのイベントには一般の参加者としての立場だったが、昨年、三条市と新潟市で行なわれた際には、三条市での企画を関口さんが担当した。このイベントでは、不登校の当事者である子どもや保護者、支援者などといった複数の関係者が一同に集う多様性のある点が、特徴的であると関口さんは言う。

イベントは注目を集め、各新聞に取り上げられたり、地元のラジオ放送に出演したりと不登校についての理解度を上げるきっかけになっている。「モノではなく人が人をつないでいくと思っているため、人との関係性がとても重要だと感じている」「活動されている方に直接会って話を聞いたり、現場や学校へおもむき子どもたちの様子を自分の目で見て、肌で感じることを大切にしている」と活動への意気込みが溢れる。
学校の他にも学びの場所があることをもっと知ってほしい
全国の不登校者は、小中学校を合わせると一昨年は16万人、昨年は18万人と年々増加しているという。「一人の人間として関わること、学校へ行っている、いないというようなレッテルを貼ることなく接することが大事だと感じている」と関口さん。

「文科省の通知があり、学校以外のフリースクールのような場でも出席日数として認めてもらえるようになった。学校と保護者の対話が生まれ、違いがあってもあたり前という様な価値観が広がればよいと思っている」と様々な立場の関係者が手を取り合って取り組むことの重要性を語った。

フリースクールの名前に使った「ヒュッゲ」という言葉は、デンマークの言葉で「人と人とのふれあいから生まれる、穏やかな居心地のよい雰囲気」という意味がある。関口さんの語る「違いを認めあい、お互いが理解し合い、失敗を許容するような社会を作っていきたい」という展望は「ヒュッゲ」を生み出すもう一つの居場所づくりからはじまるのだと思えた。
ヒュッゲのHPページ

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