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文化・芸術・スポーツ
2020.08.26

新潟に招聘される芸術家ともっと楽しみながら関わりたい

新潟市中央区
KYAF 呼びかけ人
五十嵐奈穂子さん
KYAF(きゃふ)は、K(勝手に)、Y(ゆいぽーととか)、A(アーツ)、F(ファンズ)の頭文字をとった自主的な市民の集まりで、ゆいぽーと(新潟市芸術創造村・国際青少年センター)のアーティスト・イン・レジデンス事業で招聘された芸術家への支援を今年からスタートしている。KYAFの呼びかけ人である五十嵐奈穂子さんに思いを伺った。
■新潟にやってくる芸術家のお手伝いがしたい
アーティスト・イン・レジデンス(AIR)とは、ある地域に芸術家が一定期間滞在し、創作活動を行う取り組みだ。その地域ならではの文化や生活に刺激を受けながら創作でき、さらにその過程に市民が参加し交流もできると注目されている。ゆいぽーとでは、年間8名の芸術家を国内外から公募しており、夏と冬は30日間、春と秋は90日間、滞在し創作活動をしてもらっている。

KYAFとして五十嵐さんが取り組むのは、主に夏と冬に滞在する芸術家の支援だ。それぞれのニーズに合わせて、新潟の文化活動に関係する施設や窓口につなぐほか、作品制作の手伝いを呼びかけたりトークイベントを開催したりなど、新潟との接点を増やすための活動に取り組んでいる。

活動を始める以前から、滞在した芸術家の創作活動に関わるなかで、作品の展示が広く市民に知られていなかったり、滞在中に新潟のことを十分に知ってもらえていなかったりする現状が気がかりだったと五十嵐さん。

「せっかく来てもらえるのであれば、新潟の滞在を有意義なものにして、新潟を好きになってもらいたい」。

そんな思いに突き動かされ、滞在した芸術家にアンケートを行い、AIRの良かったことや課題などを聞いているうちに、自分ができることを始めてみようという思いが芽生え、KYAFの立ち上げにつながった。
■参加し、知ることでアートはもっと楽しくなる
もとから美術館に足を運んだり、映画を観たりするのが好きだったという五十嵐さん。鑑賞するだけでなくアート活動に参加するようになったのは、越後妻有地域で開催された大地の芸術祭までさかのぼる。その時は知人に誘われ映画上映の手伝いをしていたという。2009年、新潟市で開催された水と土の芸術祭の後には、朝顔の種を撒き育てることを通じて人や地域のコミュニケーションを促そうというプロジェクト型作品、「明後日朝顔プロジェクト」にも参加するようにもなった。

「すでに亡なってしまったアーティストとは話すことはできないが、現代美術家であれば、実際に会い、話を聞き、どういう思いで制作をしたか聞くことができる。それが芸術祭のいいところ。鑑賞しているだけではなく関われる。そして知ることでもっとアートを面白がれる」。

朝顔の種は人に運ばれ、翌年また別の場所で咲く。そうやって交流の花が咲くように五十嵐さんは、「芸術祭でたくさんの人たちがアーティストと関わる経験をする。その経験の種が、芸術祭がなくても咲いて活きていくといい」と未来への想いをはせる。
■芸術家との接点が生まれる
KYAFのKは「勝手に」という意味で、あまり組織だったものとしてではなく、気軽にやりたいことをやりたい人がやるというスタンスで動くことからきているそうだ。最近、五十嵐さんが呼びかけて開催したトークイベントでは、現在ゆいぽーとに滞在している芸術家と新潟お笑い集団NAMARAの芸人をゲストに迎えた。参加者とスタッフを含め38名の参加があり、「芸人さんに会うのが初めて」「ゆいぽーとがAIRをしているのを知らなかった」などの声が寄せられた。一方のゲストを知っていても、もう一方のゲストについては知らないという人が多く、異色コラボゆえの成果が生まれている。

取材時、現在滞在している芸術家を五十嵐さんに紹介いただいた。新潟市内の古町にある店舗からゆかりの品を提供してもらい、それを使ったコスチュームを制作している。喫茶店のマッチの箱、洋装店のネクタイ、着物屋がお客さんから回収した古着や酒瓶のキャップなど……様々な思いが詰まった品が鮮やかな小物に変わり、服装の一部となっていく過程が伺えた。
■芸術家の「ファン」、楽しむ「ファン」
滞在期間によって滞在費をもらえない芸術家もいるため、今後は、芸術家への寄付を目的にKYAF基金を作りたいと五十嵐さんは語る。情報発信を充実させたいということからKYAFマガジンの制作も考えているそうだ。そうした取り組みで少しでも支援の輪が広がり、活動が豊かになればと構想は膨らむ。

KYAFのFには芸術家のファンである「FAN」と、楽しむという「FUN」、2つの意味が込められているという。「何事もおもしろがりたい」、それは五十嵐さんのモットーであり、KYAFの大事な価値にもなっている。

アートと聞くと敷居が高いものに感じてしまいがちだが、KYAFの活動を通じて、新潟の人とアートが少しずつ近づいていくように感じた。まずは自分がおもしろがることから。アートを楽しむ気持ちでいっぱいのゆいぽーとへ、足を運んでみてはいかがだろうか。

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