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災害・復興支援
2020.07.22

防災教育が学校・地域・家庭をつなぎ、未来を拓く共育社会の種を撒く。

長岡市
NPO法人ふるさと未来創造堂 常務理事
中野雅嗣さん
NPO法人ふるさと未来創造堂は、長岡市を拠点として、県内の小中学校を主な対象に子どもと大人が共に学び合う防災教育を通じて、地域一体での「共育社会の再建」の実現を目指して活動する支援団体だ。2015年に立ち上げ、現在、常務理事である中野雅嗣さんにお話を伺った。
「防災」と「教育」のプロが協働してこその防災教育
長岡生まれ長岡育ちの中野さんは、防災教育を意識する以前から、お祭りなど地域行事が少なくなるにつれ、世代を超えた交流や価値観を共有しあう場がなくなっていると感じていて、地域の公園が誰もが楽しめる場所になったらいいな、という思いでイベントを開催したり、関わってくれる方々に焦点を当てたフリーペーパーを作成したりしていた。

新潟県中越大震災の復興祈念事業にも携わってきたそうで、市民団体として企画を提案し開催したこともあると中野さん。そこから縁がつながり、中越防災安全推進機構から、県内の小・中学校に配布する「新潟県防災教育プログラム」の作成に誘われたことが、防災教育を意識するきっかけになった。

防災の専門家や学校の先生たちとともに、3年間かけてプログラムを作成する中で、「子どもたちがイメージでき、その上で自分ならどうするか考えられる余白がないといけない」という声を先生から聞いた。知識偏重型の学習では、子ども(学習者)の我がこと感(主体性)を育めない、活かせる学びにならないことを知った中野さんは、防災のプロが知識を材料として提供し、教育のプロがそれをどう料理するかという、互いの専門性を活かした協働が防災教育にも必要であると学んだ。
多忙な学校現場をサポートし、防災教育を持続可能にしていくために
プログラムが完成し配布された後、それを子どもが自分事として捉える学びの機会として、継続・発展させていくためには、地域性や子どもの実態等も踏まえた、学校ごとの柔軟なアレンジも必要だと中野さんは感じていた。しかし、すべての先生が防災教育に精通しているわけではなく、加えて多忙な学校現場のみで取り組むのはかなり難しい。現場は悩んでいて、外部とのつながりもなかった。

防災教育を定着・推進するには、様々なサポートを受けられる仕組みがいる。学校ごとに異なる悩みを聞き、一緒に解決策を考える伴走型のサポートを通じて、あらゆる学習者が学ぶための機会を守っていこう。そんな思いで中野さんはNPO法人ふるさと未来創造堂を設立した。

活動としては、自然災害、火災や感染症、避難所や食育、国際理解(外国人支援)などをテーマにした防災講座を行なうほか、学習内容やねらいに応じて、被災経験者や講師のコーディネート、防災関連施設や社会教育施設のコーディネート等も行っている。
ニーズの多様化とともに広がる活動
法人設立から3年目となる2018年には、1年間で県内の小中学校など180校、25団体(学校教育・社会教育・生涯学習部局の教育委員会)をサポートしてきた。防災教育を学校独自に推進するようになってからも直接的・間接的サポートが必要な傾向が見られ、関係は続いているという。初めは講座依頼だったものが、相談、資料提供、コーディネート、研修依頼などニーズの多様化・深化が見られるようにもなり、「アドバイスをしてくれるので助かる」といった声が寄せられている。

最近は、新型コロナの影響で学校が休校になったその週からオンライン講座を開催し、子ども・保護者・教員を対象にしたオンラインツールの使い方講座を含めると、5月だけで計16回、延べ134名の参加があった。そのうち防災に関する講座は、今月までに8回開催している。家族で洪水災害からの避難について考える講座では、「実際、家族全員で話し合ったことがなかった。それができたことが何よりだ」という声も届き、忙しい日々の中でなかなかできていない、家族内で防災を話し合う場の創出にもつながっていると中野さんは語る。メディアにも取り上げられ、行政や社会福祉協議会、市民の方からも問い合わせが増えているそうだ。
学校・地域・家庭が手を取り合って未来を拓く社会へ
「人の交流と自治を残していくために、なんとしてでも人と人がつながる場をつくっていく。災害時の対処・行動を共に考え、いざというときに助け合える関係性を作っていく。課題は解決するために存在しているから、どんどんチャレンジしていこうと思っています」

学校・地域・家庭が手を取り合って、共によりよい未来を拓いていく共育社会。それは、つながる場があるから、つながることができる。防災を考えることは、地域の安心・安全な暮らしと多くの人が幸せになるためにどうするかを考えることで、フラットな関係性だと中野さんは言う。

「専門家はその道のプロで、住民は地域生活のプロです。それぞれが共によりよい未来について考え、対等に話し合う同志・仲間ができていったら、それは共に育み合う社会の種になり芽になるはずだと思います」と中野さんは熱く語った。

取材をした今月、全国では豪雨による災害が相次いでいる。いつ自分が災害に見舞われるのか、それは誰にもわからない。その日に備える意味でも、防災のことを家族で話し合うところから始めてみませんか。
NPO法人ふるさと未来創造堂

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