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災害・復興支援
2019.11.28

女性や子どももお年寄りも。「防災カフェ」はゆるやかに、しなやかに。

新潟市東区
わいわい夢工房“防災カフェ”プロジェクト 代表
大橋 宏子さん
「防災は堅いイメージを持たれがち。カフェという言葉を足して柔らかくなったら」と語るのは、新潟市にある市民グループ「わいわい夢工房“防災カフェ”プロジェクト」の代表、大橋宏子さんだ。2014年から、日頃の防災・減災について市民同士が気軽に話し合ったり、学んだりできる「防災カフェ」を始めた。現在6年目となる取り組みにかける想いをうかがった。
「今度それをやってみない?」という声が始まり
「防災カフェ」は、福島第一原発事故後、新潟に避難してきた母親たちとの出会いをきっかけに始まった。何か手伝えることはないかと大橋さんが思っていたところ、何気ない会話の中で、ある母親から「あちこちで避難者扱いをされることに疲れた」という声を聞いたことだった。

「泣き出したんですその人。地震から半年以上もの間、避難のため各地を転々としてきたそうで、寂しかった、初めて普通の会話が出来て嬉しいって言うんです。それならちょっと遊びに来てみませんか、とおしゃべりをする場に誘ったことが始まりでした」。

もともと大橋さんは、子育て中に孤独を感じた自身の経験から、子育てをはじめとして日常のあれこれを気軽に話し合える場の必要性を感じていて、親子が一緒に楽しんだり、学んだりする子育ての会や、世代交流の地域の茶の間などに関わっていた。そこに避難者である母親たちを誘い、おしゃべりをするうちに、それぞれの経験や趣味、好みなどを知るようになり、そんなゆるやかな流れから、市民グループ「わいわい夢工房」ができあがっていった。「防災カフェ」はその取り組みの一つで、「今度災害が来たら、自分の子は自分が守るしかない。でもどうしたらいいかわからない」という声を受け開催するようになったそうだ。
「防災カフェ」は、誰もが防災を考えることができる場
今まで「防災カフェ」を1年に3、4回のペースで開催してきたと大橋さん。行政の防災担当課の職員を呼んで、自助・共助の意識や日常の備えを学ぶほか、頭を守る動作などが含まれた防災体操を参加者全員で行ったり、防災教育に取り組むNPO法人の講師から、災害時にライフラインが停止した際に食事を確保する方法を教えてもらったりなど、自分で自分の身を守るために必要な生活技術を学べる場をこれまでに作ってきた。

「子どももお年寄りも防災について考えることができる。生き延びるために必要な食は、誰にとっても大事なところ。あと消防団の方を呼んだこともあります。そういう方々が近くにいることを知ってもらえることが大事なのはもちろん、防災を切り口に次へ進んでいけると感じる」と大橋さん。
防災に女性視点を入れていく
今意識しているのは、介護や子育てに携わることが多い女性の視点から防災対策を考えるということ。新潟市の防災対策を考えるワーキンググループに参加したことをきっかけに、災害時、避難所でのプライバシーの問題をどうするかなど考えるべきところがあると感じ認識を強めた。

最近、新潟市東区の寺山公園で開催した「防災カフェ」では、女性講師から女性視点で防災のお話をしてもらい、防災グッズを親子で作った。また、公園内にあるベンチが災害時にかまどとして使えることをもっと多くの人に知って欲しいと思った大橋さんは、実際にアウトドアという形で使い方を学ぶ時間も組み込んだ。「いざという時に使えなければもったいない。男性だけでなく、女性活躍の動きがある今、防災に関わる女性リーダーがもっと出てきたらいいなと思う」。
自由に肩肘を張らずに続けること
「防災カフェ」のモットーは、ゆるやかに、しなやかに。活動への参加は自由で、肩肘を張らず気軽に参加できるところが大事な部分だ。

「私には何もできないので、と言う人もいるけどそんなことはない。チラシ配りや物品の買い出し、プログラム作りなど、何かしら手伝ってもらえることはあるし、その日来てくれるだけでも十分力になる、大切な仲間です」。

最後に今後の展望について聞くと、「防災について、大事だと思うけど参加する機会がなかなか無いという人もいる。そういう人たちから、こういう場があると嬉しいといった声も届いているので、少人数でも開催していきたい」と大橋さんは明るく語った。


自分の視点から防災を考えるきっかけに、ぜひ「防災カフェ」に参加してみてはいかがだろうか。

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