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『まち』のことが『自分ごと』に〜塩沢の街並み復元が変えた、暮らす人たちの気持ち〜 牧之通り 射干(しゃが)の会 中島真知子さん

『まち』のことが『自分ごと』に〜塩沢の街並み復元が変えた、暮らす人たちの気持ち〜 牧之通り 射干(しゃが)の会 中島真知子さん  「塩沢にきたころは、雪の多さにびっくりして…」
 そう語る中島真知子さんは昭和50年、新潟市から塩沢で八代続く海産問屋「中島屋」に嫁いできた。「その頃は、まだ消雪パイプもなく脇道は雪の山。保育所に子どもを迎えに行った帰り道はビニールをソリ替わりに、子どもを滑らせてきたものです」と笑う。「でも、そのころから塩沢のまちが大好きでした。何故なら、ここは人が温かい。近所付き合いが親密で、自分が子どもの頃に体感した隣近所の関係が、このまちには残っていました。美味しいお酒、お米、スキー、越後上布なども雪のおかげ。雪と仲良くして恩恵を受けて暮らす生活なんです」。
 
 三人の子宝に恵まれ、普通の主婦として暮らしていた中島さんに転機が訪れたのは平成13年ころ。商店街を貫く道路改修を契機に、三国街道の宿場であった塩沢の街並みを復元しようという機運が高まる。地元住民による「牧之通り組合」が設立され、沿道の建て替え家屋に対し建築協定を締結するとともにデザインルールを定め、官民協働による街並み整備が始まった。男衆が先導する街並み整備に連動して、「私たち女性は何をお手伝いしたらいいのか。男衆がハード面なら、女衆はソフト面で」と話がまとまり平成17年、地域に自生するアヤメ科の植物シャガから名をとり「射干の会」を結成した。
 
 会の活動を模索していた最中、30数年前に蔵を整理していたら見つかった古い雛人形を飾って楽しんでいたが、
「ちょうどそのころ、村上の『町屋の人形さま巡り』の記事が新聞に載っていて、その写真の人形ととてもよく似ていたんです」と、古い雛人形の写真を手に村上を訪れた。「村上では、どの家もとても親切で、翌年もまた村上を訪れました。そして塩沢で始める活動は、これだと思いました」。当時の塩沢は、街並み整備に伴う既存家屋の取り壊しにより、昔の雛人形が見つかる家も多々あった。こうして、射干の会による「ひな雪見かざり」は平成18年、沿道の16軒で始まった。

 12回目となる今年の「ひな雪見かざり」は4月3日まで開催中。展示は、牧之通りを中心に六日町の旅館も参加するなど全部で64ヶ所となり、回を重ねるごとに広がりを見せている。「例年、同じお雛様を飾っても毎年、同じお客様が来てくださる。そこでスタンプラリーを始めました。お雛様を飾ってくださるお宅とお客様を繋ぐ仕組みとして。自分達ができる範囲で頑張る、できることを協力してもらうことで活動が長続きすると思います。もっともっと、周辺に広げていきたいですね」。

 現在の会の活動は「ひな雪見かざり」を皮切りに、5月の「牧之茶会」、「武者人形かざり」、7月の「七夕かざり」、「ファミリーコンサート」、10月の「塩沢つむぎがたり」などを開催し、四季を通じて牧之通りの素晴らしさを伝えている。

 「街並みを整備する段階で、沿道の方々が土地もお金も出しました。そのことで、『まち』のことが自分ごとになり、本当に仲のいいまちになりました。何をやるにしても自分のできる範囲で協力してくださいます」。
「通りの全てのお店に経済効果が及ぶわけではないけれど、この通りのどこかのお店にお客様が来てくださればいいよ」と、通りのある人から言われた言葉に感動を受けた。「自分のことだけではなく、『まち』全体を考えてくださるようになったと思いました。街並みが変わったことによって、ここに暮らす方々の気持ちも変わったのだと」。

 現在、中島さんは、次の世代にどうつないでいくかを考えている。
「主人は東京からのUターン組。塩沢のまちが好きじゃなかったら、自分が好きになるまちにしたらいいという考え方なんですね。そうすれば若い人たちも戻ってくると。若い人たちをどうやって仲間に入れるか、そして、若い人たちから、アイディアをどんどん出して欲しい」。

 その手始めとして中島さんは今、牧之通りの由来である「鈴木牧之」の普及に力を注いでいる。著書「北越雪譜」は江戸後期の越後魚沼の生活を活写した書籍。雪の結晶のスケッチから、雪国の風俗・暮らし・方言・産業などの諸相が豊富な挿絵を交えて多角的かつ詳細に記されている。
 「地元の子どもたちに鈴木牧之を認識して欲しくて、牧之記念館に協力してもらい『北越雪譜かるた』を作りました。地元の歴史や文化に触れることで、地域に対する愛情が育まれると思います。これから各小学校にかるたを寄贈して、できたら各学校対抗のかるた大会が出来たらうれしいです」。

 取材中、「ひな雪見かざり」のお客様がひっきりなしに中島屋を訪れた。笑顔がたえない中島さんのお人柄の良さに人がひきつけられてリピータとなり、何度も塩沢の地を訪れていると感じられた。南魚沼市を訪れた時は、ぜひ牧之通りに立ち寄り、街並みを楽しむとともに地元の方々の温かさに触れてみてはどうだろうか。

・中島屋HP  http://www.nakajimaya.info/
・三国街道塩沢宿 ひな雪見かざり http://shiozawasho.jp/hinaningyou/hinaningyou.htm

 (2017/02/27 にいがたNPO情報ネット http://www.nponiigata.jp

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